2017/10/9 K-BALLET COMPANY 「クレオパトラ」

 

6日の公演を見終えた後、浅川さんの回も見ないと絶対後悔する!と思い立ち、急遽観賞を決めました。

 

祥子さんのクレオパトラとは大分雰囲気が違ったので、6日との比較を中心に書いていきます。

作品の細部まで言及します。まだ観ていない方は、ご注意ください。

 

fumi-ballet.hatenablog.jp

 

 

 

祥子さんのクレオパトラは生まれながらの女王という感じで、空恐ろしいほど美しく、冷たい。だから、一幕の冷徹さ、残酷さがしっくり合っていました。

浅川さんのクレオパトラは一人の女性がたまたま女王として生まれてしまった…という感じです。

どちらが良い、どちらが悪いという問題ではなくって、単純に雰囲気が違う。

祥子さんのクレオパトラは一幕がぴったりはまる分、二幕に少しだけ違和感があったのですが、浅川さんはその逆でした。

 

一幕

神殿男娼のシーンは浅川さんの妖艶さが際立っていました。多くの男性が骨抜きになる所以がよくわかります。

 

第一ヴァリエーションの矢内さん、やっぱり素敵!

矢内さん主役の演目をまた見たいです…!

 

篠宮さんを見て、改めて思ったのですが、すごく難しい役ですよね…プトレマイオス…。

お客さんにとってあまり馴染みのないコンテンポラリー主体の振り付けに、幼少期から青年期までの踊り分け、感情表現。ド派手な戦闘シーンなどの、わっと盛り上がるような見せ場もありませんし…。

二幕が全体的に華やかな雰囲気であるのに対し、一幕は衣装の色彩からしても何となく重たい感じがします。静かに、不穏に物語は進んで行く。

三人の官僚を始めとする周りの大人達に流され、利用された愚鈍な王なのか、何をやっても裏目に出てしまう、運命に愛されなかった悲しき王なのか。短い時間で紙一重のところを演じていかないといけない。

一幕しか出番のない役はプトレマイオスだけですから、不利な条件?の中で彼の一生を描き出さないといけない厳しさは、想像以上なのではないかと思います。

 

 

 

二幕

ローマ人の男性役で雅也さんが出演していました。しなやかな踊りと時折見せる力強さがとっても素敵。

真ん中でオクタヴィアヌスが踊っている時、同じくローマ人の男性役で出ていた、堀内さん?と寸劇を繰り広げていました。(雅也さんとペアを組んでいる女性に堀内さんがちょっかいを出す。→雅也さんちょっとムッとしてる。→堀内さんペアの女性がお怒り。堀内さんを引き剥がす。→雅也さん、ペアの女性と顔を見合わせ、にっこり。要するに女性の取り合いですね。笑)これって、完全にアドリブなんでしょうか?メインストーリーそっちのけで見入ってしまいました。目が足りないです。笑

 

杉野さんのオクタヴィアヌスは遅沢さんより、人間味に溢れていた気がします。

ブルータスが処刑される時も、遅沢さんは冷たい顔をして見ているだけでしたが、杉野さんには迷いがあった。止めさせたい気持ちと、権力者として邪魔者は排除しておきたい気持ちのせめぎ合い。やめろ!と思わず出した手を、もう片手で押さえ込んでいました。

 

カエサルの死とアントニウスとの恋

先ほど、浅川さんのクレオパトラは一人の女性がたまたま女王として生まれてしまった感じがする、と述べたのですが、そのキャラクターが二幕にぴったりと合っていて、カエサルを失ったクレオパトラの嘆きや、アントニウスと心を通わせる喜びがとてもよく伝わってきました。

特にラストの、アントニウスの死に対面したクレオパトラの嘆きの踊りは本当にすごかったです。浅川さんの体が壊れてしまうのではないかと不安になるくらい、激しい慟哭でした。

 

どちらのクレオパトラも本当に素晴らしかったです。演じる人が違うと、こんなにも変化が出てくるものかと驚きでいっぱいです。これからの演目もキャスト違いで見なきゃ!と息巻いています。笑